小説が書きたい女のブログ

連続小説(更新不定期)

一週間前

その変な電話があったのは日曜日の午後だった。僕は一つ隣の駅のスーパーで買物していた。彼女の為にお菓子を探していた。彼女は来週の日本語能力試験を控えて勉強中で、そのストレスもあってか突然お菓子が食べたいと僕に言った。買いもののついでに、僕は喫茶店でコーヒーを飲んでいた。

 

コーヒーを飲んだ後僕はトイレに行きたくなった。トイレで用を足しているとき、突然僕の携帯が鳴った。最初は無視しようと思って電話を取らなかった。しかし、いつまでも鳴り続けているので僕はそれが彼女からだと思い、相手の番号を確認せずに電話を取った。しかし電話の相手は彼女ではなかった。

 

電話の向こうで知らない女の声がした。しかも日本人だった。僕は少し驚いた。シンガポールで見ず知らずの日本人が突然電話をかけてくることなどそうそうないのだ。その女性は自分を佐藤春海と名乗った。彼女は現在ブルーマウンテンに勤めていて先週いきなり会社から解雇通知を出されたのだと、説明し始めた。

 

ブルーマウンテンは僕が以前勤めていた会社だった。

(続く)